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舞台『私のホストちゃん~激突!名古屋栄編~』

2013年初演の舞台『私のホストちゃん』が今回でファイナルを迎える。元々は女性ユーザー50万人以上のAmebaの人気モバイルゲーム。これを元にしてドラマ化されたのが2011年10月4日〜2012年3月27日まで放送された『私のホストちゃん〜しんにんのホスト』、歌舞伎町のホストクラブ『クラブバニラ』を舞台にホストたちがNO1の座を目指して奮闘する、といったものだった。初演の舞台版はこのドラマを元に構成、さらに観客の指名やランキングシステムでホストの順位がアップダウンする、つまりマルチエンディングを採用したのである。この観客の指名でランクが変わる、という仕掛けが功を奏し、客席では『えー!?』『きゃー!』等の声が飛び交う程のリアクション、また観客は”貢いだホスト”が上位に上がれば単純に嬉しいが、もちろん、そうでない場合もある。悲喜こもごもな空間、新しいライブエンターテイメントの形を作った、とも言えるが、実は日本の大衆演劇にも通じるところがあり、贔屓の役者にはファンが”おひねり”を渡す。もちろん、その数に比例して人気も役者としてのランキングも上がるので、これを現代にアレンジしたとも言えるだろう。
第二弾は、このシステムはそのままで、物語の舞台を博多の中洲に移し、時事ネタをふんだんに盛り込んだ(グデングデン熱とか!?)なんともシュールで予測不能なストーリー展開で観客席を更なる笑いの渦に。もちろん、VIP席にはもはや”名物”と化した”口説きタイム”もパワーアップで盛り上がった。そして今回のファイナル公演は名古屋の繁華街・栄が舞台。ホストは総勢20名がトップ目指してしのぎを削る。もちろん、初演からのランキング、”口説きタイム”はお約束である。
出だしは、なんとホストの格好ではなく、ラガーマンが登場。昨年はラグビーが盛り上がったが、それを臆することなく取り入れた設定だ。高校ラグビー、愛知県大会決勝戦、時勢館高校の璃来哉(黒羽麻璃央)は”あの”得意のポーズで集中、ボールを蹴るが、なんとゴールを外れて負けてしまう(監督の鼻歌で集中力が持続しないという理由)。がっくりする璃来哉と別の意味で超絶がっかりで倒れ込む直(小澤廉)や大湖(杉江大志)ら。「決勝で負けたらホストになれ」というなんとも理不尽な監督の約束があったからである。卒業と同時にホストクラブ『クラブ金鯱』に”就職”。「そんな約束、無視すればいいじゃない」という野暮なツッコミはなし、という展開。ホスト初心者な彼らにはなかなか難しい世界、そこへ伝説のOB、歌舞伎町の『クラブバニラ』NO1ホストの夕妃(廣瀬智紀)と咲夜(平田裕一郎)が”ホストの特別コーチ”として店にやってくる。
とにかく、バカバカしい展開でツッコミどころ満載、ラグビー部監督演じるは福井晶一、劇団四季出身でミュージカル『レ・ミゼラブル』のジャンバル・ジャン等ミュージカルで活躍しているだけあって、得意の歌で圧倒、しかも「ここで歌うのか!」といった場面でも歌う、歌う(会見でも本人がアピール)、もう笑うしかない、といった感じだ。愛知県出身のフィギュアスケート界のトップに君臨する佐々田真央、何故かホストクラブに。また、アイドルグループが結成されるが、そのグループ名は『鉄砲隊 BANG×BANG』という2.5次元アイドル!超絶金持ちの”華麗なるラスボス”錦マナミ(小川菜摘)、もちろん初演からのキャラクター、もはやこの人はいないと!という存在感の甘王(オキャディー)、とにかくキャラの濃い人達が出て来て大騒動、まさかの展開続きで、ラストはもちろん、「誰が名古屋一のホストになるか」。今回も各公演上位3名のお客様にはもちろん指名ホストからの特別接客が、しかも各ホストそれぞれ工夫を凝らしているそうである。
頻繁に口説きタイム、単純に楽しい歌と踊りたっぷりなミュージカル風で、ひたすら笑える2幕もの。ランキングは毎日変わるので、全ての公演が一期一会。休憩時間に「ラブ」投票、2幕でその結果が明らかになる、といういつもの構成。総合プロデュースは鈴木おさむ、脚本・演出は村上大樹、と初演からのコンビが手掛ける。なお、スペシャルゲストも用意されているそう。一応、今回がシリーズ最後らしいが、本当のところはどうなのか、奇想天外な作品だけにそれは誰にもわからない。

 


舞台『私のホストちゃん〜激突!名古屋栄編〜』
[東京]
2016年1月29日〜2月14日
天王洲 銀河劇場
[福岡]
2016年2月20日
ももちパレス大ホール
[大阪]
2016年2月26日〜2月28日
森ノ宮ピロティホール
[名古屋]
2016年3月1日〜3月2日
名古屋市芸術創造センター
http://www.hostchan.jp

取材・文/高 浩美

2.5news(編集部)

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