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【コラム】連載第181回 高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評

スタジオライフ『エッグ・スタンド』

近年、特にここ数年であるが、キャラクターに近い俳優をキャスティングするのではなく、見た目が似ている訳でもないキャストを選ぶ。という手法が目立ってきているように思う。しかし、それは今に始まったことではない。劇団スタジオライフが萩尾望都の『エッグ・スタンド』を舞台化するが、主立った登場人物は少年、少女。この劇団は男性だけで演じるのが大きな特徴で女性役も男性が演じている。さらに俳優の年齢とキャラクターの年齢は大きな隔たりがある。例えばミュージカル「テニスの王子様」の登場人物は中学生、という設定だ。中学生は流石にキャスティング出来ないが、10代〜20歳そこそこの俳優を起用、しかも演じるのに無理のないルックス。それに対してスタジオライフは見た目よりも俳優の力量や雰囲気でキャスティングされているように思う。また、別のカンパニーだが、一昨年、昨年と上演した『ブラック・ジャック』のオペラ化、タイトルロールの俳優は顔にこそ傷を作っているが、原作キャラクターにはない髭が生えている。その上、原作を大胆に“翻案”というのだろうか、ストーリーや設定に変更が加えられていたりもする作品もあるが、それで世界観が壊れる訳ではなく、かえって際立ってテーマ性がクリアーになっていたりする。こういった“手法”、このジャンルは俗に“2.5次元”、大きく捉えればそう言えなくもないが、“2.5次元”という言葉のニュアンスを考えると“2.5次元?”というイメージだ。

歌劇『BLACK JACK』(一昨年公演より)

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2.5news(編集部)

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