映像はゲームっぽい雰囲気ではあるが、各武将の心の動きは演劇的、ここに舞台化する意味がある。徳川家康は豊臣秀吉を滅ぼす。石田三成は家康に対する憎悪を募らせて、必ず討つと誓い「家康〜!!」と叫ぶ。それを軸に他の武将の人間模様が渦巻く。三成は友であり、参謀でもある大谷吉継に助言を仰ぎ、家康は長曾我部元親に「共に戦って欲しい」と言う。関ヶ原の戦いに向けて誰がどっちに着くのか、思惑と陰謀と友情と確執が渦をまきながらラストシーンに向かっていく。
ところどころにお笑いシーンが挟み込まれる。アンサンブル陣が「アニキー!!」と叫びながらうろうろするが、その“アニキ”こと長曾我部元親はアンサンブル陣のど真ん中にいたり、また、後藤又兵衛と黒田官兵衛のコミカルなやり取りもなかなか楽しい。客席に向かって拍手を求める場面もあるので、ここは是非とも協力したいところ。客席を使う演出も多用し、これが“生”の醍醐味。ベテランキャストは安定感があり、新キャストは勢いがある。そのコンビネーションも良く、舞台全体が一体化していた。