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【インタビュー】ミュージカル『メリー・ポピンズ』大貫勇輔さん×小野田龍之介さん×上川一哉さん

2018年・2022年に上演され、新たなキャストを迎えて2026年 3-5 月に東京、5-6月に大阪にて上演される、ミュージカル『メリー・ポピンズ』。

メリー・ポピンズ役は前回公演から引き続き濱田めぐみさん、笹本玲奈さんに加えて、朝夏まなとさん。
バート役には前回公演から引き続き大貫勇輔さん、小野田龍之介さんに加え、上川一哉さんが初参加。
新キャストとして、ジョージ・バンクス役に小西遼生さんと福士誠治さん、バードウーマン&ミス・アンドリュー役に樹里咲穂さん、ブーム提督&頭取役に安崎 求さん、ロバートソン・アイ役にDIONさんが出演。

この度、バート役をトリプルキャストで務める大貫勇輔さん、小野田龍之介さん、上川一哉さんにインタビューを実施。本作への意気込みを伺いました。

左から:小野田龍之介さん、大貫勇輔さん、上川一哉さん

大貫さんと小野田さんは本作への出演が3度目となります。意気込みをお聞かせください

大貫:僕にとっては大きな転機となった作品で。4年くらいかけてオーディションでバートの役を勝ち取ったので、本当に大変でした。昨年、龍ちゃん(小野田)と一緒に2回目となる『メリー・ポピンズ』で同じ役をやって、少し地に足がついた状態で出来たかなと。そして今回は3人で同じ役をやれるんだ、そんな日が来るとはという感慨深さがあります。龍ちゃんが前回大変だったように、きっと今回が初参加になる上川さんも大変な思いをするんだろうなと思いつつ、お互い助け合いながらこのメンバーで新しいミュージカル『メリー・ポピンズ』を作っていきたいです。なので、今から稽古が楽しみです。

小野田:初演は8年も前になります。当時、来日スタッフ以外は全員がまっさらな状態で紆余曲折もあり、大変な思いをしながら作った記憶があります。毎年コンスタントに上演されている作品ではないのに、初演ではロバートソン・アイ役、再演と今回はバート役と3回も出演できるとは考えてもいなかったので嬉しく思います。親戚みたいな3人組なので、変に過保護にならず、自然とお互いのことを気にかけながらやっていけたらと。バートという役は、その俳優の持ち味が非常に活かされる役だと感じているので、それぞれの持ち味を出していきたいです。あと、前回はコロナ禍だったのもあり、マスクをしながらハードなナンバーを踊り続けたので、それがとても大変でしたね。

大貫:あれは本当にキツかったよね。

小野田:キツかった(笑)。そうした困難を乗り越えたカンパニーなので、今回の稽古は楽しさしかないと思います。もちろん、新しいキャストの方もたくさんいますが、きっとこれまでの『メリー・ポピンズ』の中でも、力強くて結束力の高いカンパニーになるんじゃないかなと、楽しみにしています。

上川さんは、今回が初参加となります

上川:もう緊張と不安しかないです(笑)。初演を拝見していたのですが、その時はまさか自分がこのカンパニーに入るなんて思ってもいませんでした。日本でも愛されてきた作品なので、出演できることはすごく嬉しくて楽しみたいと思うのですが、いまのお二人の話を聞いて、本当に大変なんだろうなと…。

小野田:それはもう、ずっと大変ですよ(笑)。

大貫:意外とやることがあるんだよね。

小野田:表向きはすごく楽しいし、やっている方も楽しいんですけど、決まりごとやテクニカルな部分が本当に多いから大変。

大貫:舞台装置が全部オートメーション(機械による自動制御)だからね。

小野田:それが千秋楽まで続きます(笑)。大変ですが、感動もひとしおですから。

上川:初演を拝見した時に、本当に大変なんだろうなということは感じていましたので、年齢的には僕が1番上ではありますが、大先輩の2人に頼りながら頑張ります!

バート役の先輩であるお2人に、今のうちに質問しておきたいことはありますか?

上川:大変だということは十分伝わったので、面白い部分を聞きたいです。

大貫:高い所って好きですか?

上川:高所は本当に苦手なんですよ…。

小野田:かわいそう(笑)

大貫:それはキツいと思う(笑)

小野田:例えば、どれくらいの高さまでなら大丈夫なの?

上川:レインボーブリッジを車で渡るのも駄目です。

小野田:え、床やん。

大貫:分かりづらい(笑)。

小野田:車内であんなに守られているけど、下があるって思うと怖いんだ?

上川:下が海だから…。あとは、テレビとか映像で見ていても、高い所だとすごく足の裏が痛くなる。

大貫:それだと「ステップ・イン・タイム」は多分地獄ですね(笑)。

小野田:我々は煙突掃除屋なので、煙突の上に立ったりもするし。

上川:2人は高い所は大丈夫なの?

大貫・小野田:大好き!

小野田:「ステップ・イン・タイム」はバートの見せ場で、メリーの魔法で逆さになってタップダンスをするんですよ。そのシーンはどの国でも共通して、高い所が平気な人はなんの躊躇もなくすぐやれるんですが、逆に苦手な人は何も出来なくなっちゃうみたいです。

上川:だって逆さになるんだよ?逆さになって何が見えるの?

小野田:それは、バートをやった俳優にしか見えない景色があるんだよ。それを楽しみにしてて。

大貫:間違いない。

小野田:あの高さで逆さになって、シアターオーブと梅田芸術劇場を見られるのは、本当に『メリー・ポピンズ』のバートにしか出来ない経験だと思うんです。きっと感動するよ。

上川:もう既に少し足の裏が痛いです(笑)。
踊りをずっとやってきている2人でも、キツいなって思うナンバーや場面は?

大貫:キツいっていうのを、一切出さないように踊るのがキツいかな。

小野田:これはメリーもそうなんですが、メリーとバートは絶対呼吸が乱れてはいけないんです。肩も上下に動かしてはいけないので、楽そうに見えていても実際は大変な思いをしています(笑)。
「スパカリ(スーパーカリフラジリスティックエクスピリアリドーシャス)」も「ジョリーホリデー」も非常に楽しいナンバーで、メリーのかけている魔法に乗れれば全てが楽しく感じますが、その楽しい所に行くまでがなかなかね。

上川:観ている側は、客席と一体になって盛り上がることができて楽しい感じ。

大貫:「スパカリ」とかはすごく楽しいよ。考えなくても身体が動きを覚えて出来るようになるまでは結構時間がかかるんだよね。毎日鏡の前でずっと練習したり。それが最初らへんは大変かな。

小野田:この作品のビッグナンバーの特徴として、どのナンバーも本ナンバーが終わったあとにリプライズが絶対あるんですよ。だからやりきったと思っても、呼吸を切らさずにリプライズをやることになるので結構キツいんですよね。「スパカリ」も「ステップ・イン・タイム」も、そこからまたバートが一気に盛り上がって、お客様と共有していくシーンになるので。

大貫:「スパカリ」のリプライズはテンポが早くて特にキツいよね。

上川:どんどん憂鬱になってきた…(笑)。

大貫・小野田:(笑)

上川:でもこうして話を聞いたり、しんどいことも共有できたりするのが心強いですし、嬉しいです。稽古でもいろいろ聞こうと思います。

小野田:同役に限らず、『メリー・ポピンズ』は助け合いのカンパニーなので。

大貫さんと小野田さんは、これまでの公演で印象深かったことなどあればお教えください

大貫:僕はダンスはやっているけど、タップダンスはそんなにやってきたわけじゃないので、結構2人で一緒に練習しました。

小野田:たくさん練習しましたよね。僕は初演の時の舞台稽古が1番印象に残っていて。 オリジナル演出のリチャード・エアさんと、プロデューサーのキャメロン・マッキントッシュさん、お2人が劇場に来ていたんです。そこで色々と演出が変わったりもしましたし。

大貫:僕はプレビュー公演中くらいにマッキントッシュさんから「こうした方がいい」って言われて、振付が変わりました。

小野田:日本初演は、海外スタッフが1番多く関わるので。1から作るというのは、こういうことなんだと、衝撃を受けました。

ご自身が考えるバート像は?

大貫:バートは素のままでいられるので、演じている感覚とか、意外と自分との境目がないんです。なので演じていて無理のない役です。

小野田:僕もそれに近くて、バートという役にそういう魅力や力があるのか分かりませんが、自然と演じられていると感じています。よく言うのが、バートはエンタテイナー的な存在ではあるが、ダンサーでもシンガーでもない、基本的に労働者である。公演を重ねてできる経験者は、ナンバーが滑らかになったり上手くいく瞬間がたくさんあるだろうけど、逆に滑らかにやりすぎず、キャラクターが持っている個性や労働者的な居住まいみたいなものは気を付けていきたいです。

上川:僕はバート像を固めずに稽古に入ろうと考えています。お2人のバートを見て、話し合いながら、少しずつ自分の形を作っていきたいです。

稽古で楽しみにしていることは?

上川:今のところちょっと楽しめるかどうか…。

大貫:絶対楽しいよ!(笑)

小野田:楽しいけど大変さもあるっていう(笑)。

上川:思い切りぶつかっていって、その中で楽しんだり、良い化学反応を起こしながら、初日に向けて頑張っていきたいです。あとは高所恐怖症と戦いながら…もうそこばっかり考えちゃいます(笑)。

大貫:高所恐怖症は治せないもんね。

上川:どういう稽古をするの?逆さになるの?

小野田:一応、低いけど逆さになってタップを練習する器具はあるよ。

上川:それじゃあ、劇場入りしないと逆さで歩いたりする練習は出来ないってこと?

大貫:そうなんだよ。

小野田:あの高さで練習できる時間は限られてる。

上川:うわぁ……。

小野田:大丈夫、メリーの魔法だから♪

大貫:俺はカッキー(初演でバート役をWキャストで務めた柿澤勇人)が吐きそうになるくらい怖がっている姿を見ているから、本当に大変そうだなって(笑)。

上川:自分が行きたくなくても勝手に引っ張られて行くんでしょ?

小野田:勝手に行くよ。ちょっとでも反発したら、グラグラするから余計に怖いよ(笑)。そんなに不安定なところが苦手だったら、登場シーンからヤバい気がするんだけど…。

上川:そんなに高いの…?

大貫:煙突ね、意外に高いのよ(笑)。

小野田:幅もないし、ガクッてなる瞬間もあった。

大貫:なんでそんなに怖がらせるようなこと言うの(笑)

小野田:楽しみにしていることは?って質問されているのに(笑)でも、今の上川一哉からどういうふうにバートになっていくのか、それを見られるのは我々の特権ですし、楽しみですね。

大貫:そうですね、楽しみにしています。

最後に、本作を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします

大貫:初演、再演と、1度は観たことがある方も、初めてご覧になる方も、この新しいキャストが加わった、新しいミュージカル『メリー・ポピンズ』を観て、感動して帰ってもらえたら嬉しいです。

小野田:ここまでキャストが変わったり増えたりするのは3度目の出演にして初めてのことなので、それぞれの俳優から出る、登場人物たちのエネルギーを楽しんでほしいです。観たことがある方も新鮮に楽しんでいただけますし、ご覧になったことのない方は、絶対と言っていいほどこの作品に触れて損はないです。こんなに興奮しながらも感動できる芝居はないと思っていますし、それはメリーの魔法でもあると思います。その魔法を存分に浴びて、楽しんでください。

大貫:そういう意味で言うと、俺も1回魔法が使えるようになってからの3回目になるので、もしかしたらもっと魔法が使えるかもしれない。

小野田:いやいや、バートは魔法使えないです。ちょっと黙ってもらっていいですか。

大貫:ごめんなさい。

一同:(笑)

大貫:そっか…俺は魔法使いじゃなかったか。

小野田:それは勘違い。役作り間違えてる、魔法がかかる方だから(笑)

大貫:使う方じゃなかったわ(笑)。

上川:初参加なので、お二人から聞いた作品の魅力を、僕自身も稽古をしながらどんどん身につけて役を深めていきたいです。僕が高所恐怖症を克服する姿を、ぜひ劇場でご覧ください。

今回インタビューをさせていただいた、大貫勇輔さん×小野田龍之介さん×上川一哉さんのサイン色紙を抽選で1名様にプレゼント!
応募方法はStage NewsのXをフォローし、対象ポストをRPをするだけ!
応募締め切りは2025年12月11日(木)23時59分です!沢山のご応募お待ちしております!

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※仕様上アカウントをフォローして頂かない場合はDMが送れませんのでご注意ください。
※DM送信後は48時間以内にご連絡が無い場合、当選は無効といたします。


・大貫勇輔さん
ヘアメイク/松田蓉子
スタイリスト/立山功
衣裳協力/ジャケット¥162,800-、シャツ¥47,300-、パンツ¥99,000-/Yohji Yamamoto POUR HOMME(ヨウジヤマモトプレスルーム tel 03-5463-1500)、ブーツ¥83,600-/Y’s for men(ワイズプレスルーム tel 03-5463-1540)

・小野田龍之介さん
スタイリスト/津野真吾(impiger)
ヘアメイク/池田ユリ(éclat)

・上川一哉さん
スタイリスト/綾部秀美
ヘアメイク/千葉美智子

公演概要

ミュージカル『メリー・ポピンズ』
東京公演:2026年3月28日(土)~5月9日(土) 東急シアターオーブ
大阪公演:2026年5月21日(木)~6月6日(土) 梅田芸術劇場メインホール

公式サイト:https://marypoppins2026.jp/

Rie Koike