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【インタビュー】江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」松田凌さん×平埜生成さん×見津賢さん

江戸川乱歩没後60周年記念作品『RAMPO WORLD』と題して乱歩の作品を原案に設定を現代に変え、オリジナル解釈を加えた『3つのグノシエンヌ』(10月3日(金)公開)、『蟲』(10月17日(金)公開)、『白昼夢』(10月31日(金)公開)がシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか順次公開。

この度、それぞれの作品で主演を務める松田凌さん(『3つのグノシエンヌ』)、平埜生成さん(『蟲』)、見津賢さん(『白昼夢』)にインタビューを実施。
9月4日(木)シネマート新宿にて開催された、江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」先行上映会での完成披露舞台挨拶を終えたばかりの3人に、舞台挨拶の感想や作品の見どころなどを語っていただきました。

左から:松田凌さん、平埜生成さん、見津賢さん

総勢12名が集まった舞台挨拶(江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」完成披露舞台挨拶付き先行上映会)を終えたばかりということで、感想をお聞かせください

松田:「RAMPO WORLD」として3作品を順々に上映するだけじゃなく、その監督・キャストが同時に集まって舞台挨拶するというのは企画としてもなかなか無いですよね。
僕は、今日が初めて作品が皆様の目に留まる日でもあったので、緊張感もあり、今日の経験が楽しくもあり、良い皮切りになるんじゃないかなという期待がありました。

見津:僕は『3つのグノシエンヌ』と『蟲』も観させていただいて。観ていたから余計に初めてお会いした時、当たり前ではありますが、映画と全然違う人だなと思いました(笑)。舞台挨拶で撮影時のエピソードを聞きながら、絶対あそこのシーンのことだろうなと分かったりもしたので、すごく面白かったです。

平埜:それぞれの映画の座組のカラーがすごくよく出ていたと感じました。各々が本当に大変な時間を過ごしていたんだなというのが舞台挨拶で伝わってきたので、役者同士のいじりいじられポジションや監督との空気感など、時間を経た故の絆というものを見れて楽しかったです。傍から見ていて(岩男)海史くんとのコンビ感が羨ましいなと。本当に話し合って作ったんだろうなと。

松田:みんな協調性や個性が強いんですよ。今おっしゃっていただいたように、撮影を乗り越えたから監督含め仲の良さが出ていると感じています。『蟲』のチームの雰囲気も良いなと思いました。

平埜:『蟲』はマイペースな座組だと思っていて、それぞれの俳優が各々考えていることを持ち寄って、撮影をしている時はあまり喋れないのに、後日会ったタイミングで「あの時こうだったよね」って、ニヤニヤし合っているようなチームです(笑)。

見津:監督の色も出ているよね。(平埜さんが)「ゆるキャラっぽい監督」って言ってた理由が分かりました(笑)。その雰囲気が座組全体に反映されている感じがしました。

平埜:本当に座組の毛色が違いましたよね。

見津:『白昼夢』の座組は、舞台挨拶の時に山城監督が「なに喋ろうかな。どうしよう一番緊張してる」って、ぼそっと言っていて。そういうところが『白昼夢』の主人公に似ているなと。みんな程よい距離感だけど、ちゃんと絆がある座組です。

それぞれの作品の見どころ

松田:『3つのグノシエンヌ』は、短編小説「一人二役」を原案としていて。その作品に触れている方がどれくらい居るのか僕には分かりませんが、知らない方もいらっしゃると思うんです。「一人二役」は、昔なら有り得たかもしれないけど、今の世の中でそれを表現するにあたって、ウエダ監督をはじめ、俳優、撮影スタッフの皆さんと考えながら、感じ合いながら作ってきました。一人二役のギミックも含めて、こういう意味で“一人二役”と謳うんだというところを楽しんでもらいたいです。そして“3つのグノシエンヌ”というサティが作曲した曲に繋がっていく、その親和性を感じていただけるようになっていますので、そこが見どころのひとつでもあります。

平埜:3作品に共通していると思うのですが、愛や多様性が見どころだと感じています。子供の愛とはまた違う、大人の愛の中にもいろいろな愛情の形があって、一言では言い表せない愛がそれぞれの作品にある。『蟲』は、傍から見たら気持ち悪いと思われてしまうかもしれないような、行き過ぎた愛情が見どころです。

見津:『白昼夢』は覗くことがテーマの話です。映画も、ある人の人生や事象を覗くものだと思っていて、この作品では、ある人の人生を覗いている人間を、お客さんが映画館で覗き見るという、新しい映画の見方になっていると感じています。そこがひとつの人間の本質に繋がっていくところかなと思いますので、そうした部分をテーマに観ていただけたら嬉しいです。

3作品にはそれぞれ違った愛が描かれていますが、皆さんは俳優人生の中で、どのような愛を感じていますか?

平埜:俳優をやって、本当に沢山のことを学んできました。一番は、他者の視点に立つこと。他者視点で物事を捉えて、相手の気持ちに立って物事を考えるということを、俳優業を通じて学んできました。それによって、この人とは合わないかもと一見思うような人に対しても、視点を変えてみたら、あくまでも僕からしか見えていない所であって、相手や他の人から見たら違う一面が見えてくるんです。そうした学びから、人間はこんなに愛を沢山持てる生き物なんだなと思いましたし、その可能性の深さや広さが知れたことで、僕は人に対して愛情が持てるようになりました。

松田:僕は俳優という職業しか知らないのでそこの部分でしか答えられないのですが、自分の心を愛さなきゃいけないし、お芝居を始めたいと思った衝動やその時の気持ちを持ち続けたい。それが枯れてしまうと、俳優を続けられないと思っているので、その情熱が消えてしまわないように心に嘘をつかず、自分の心や人の心を愛することを一番大切にしています。

見津:自分がやってきた作品や役というものを、心から愛せるようになっていくことが俳優として大事だと考えています。愛せるくらい、作品にかける想いを持ってやっていかないといけないと思いますし、作品を見た人たちが「あの作品良かったね」「あの曲良かったね」と言ってくれることで、またその愛が自分に返ってくる。愛がいろんな形で巡っていくので、そういう世界で生き続けたいと思っています。

今回、それぞれの作品の主演として集まっていただきましたが、もし共演するとしたらどんな作品をやってみたいですか

見津:この設定を引き継いだまま、この役で集まって作品を作ったらどうなるんだろうと思ったりします。全員ちょっと変わっているので(笑)。

松田:それ面白そうですね。江戸川乱歩の作品では、それぞれの話でしか得られない実みたいなものがあるので、次は真逆の方向性で、痛快で奇天烈な作品で会えたら楽しいだろうなと思います。

平埜:今回はそれぞれ撮影が大変だったんだろうなと感じたので、みんなそれを乗り越えたからこそ繋がれる部分があるなと。共演できるならどんな作品でも嬉しいですが、時代劇や、また別の近代文学の作家さんで3部作とかやってみたいです。

最後に、本作を楽しみにしている方にメッセージをお願いします

松田:今日はインタビューや舞台挨拶で自分なりに言葉を発したり、実際に3作品に参加した皆様の想いに触れさせてもらって、江戸川乱歩没後 60 周年記念作品 というものを多くの人に盛り上げてほしい。ひとりでも多くの方に観ていただいて、江戸川乱歩の世界に入ってほしいと思いました。まず、その始まりの作品となる『3つのグノシエンヌ』を入口として、この世界に来ていただけたら嬉しいです。

平埜:愛と変態と狂気をたっぷり味わっていただきたいです。よろしくお願いします。

見津:人間の本質、人間臭さ。愛の裏側にはそういうものを持ち合わせていると思うので、それをこの作品を通して覗いてみて、なにを感じるのか。観た人それぞれ感じることは全然違うと思いますが、その感想をいろんな人に発信して、繋いでいってくれたら嬉しいです。ぜひ、劇場でご覧ください。

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江戸川乱歩没後60周年記念作品「RAMPO WORLD」作品情報

本格推理小説や怪奇・幻想小説の祖として後世に名を残した作家・江戸川乱歩。数々の推理小説を世に送り出す一方で、「人間椅子」「鏡地獄」など、怪奇、妄想、フェティシズム、狂気を滲ませた変格ものと称される作品も多く執筆している。今年没後 60 年を迎える江戸川乱歩の 3 作品を、「RAMPO WORLD」と題して長編映画化。晩秋の夜に、妖しくも美しい乱歩の世界へと誘う―。

公式X:@RAMPOWORLD https://x.com/RAMPOWORLD
公式Instagram:@rampoworld https://www.instagram.com/rampoworld/


『3つのグノシエンヌ』
2025年10月3日(金) シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ他ロードショー

監督・脚本・編集:ウエダアツシ
出演:松田凌 安野澄 岩男海史 前迫莉亜
岡本照磨 四家光葵 月石しのぶ 富樫 明 佐田川舞
原案:「一人二役」江戸川乱歩

<STORY>
小劇場の売れない役者・哲郎と、教師として働く妻・晴との仲は冷え切っていた。愛人の茉莉との逢瀬も、哲郎の欲望を満たすことは無かった。刺激に飢えた哲郎は、新たな舞台の脚本を進める中で、後輩役者の悠介にある話を持ち掛ける。それは、舞台の主役に抜擢することと引き換えに、悠介が架空の人物に成りすまし、晴を口説き落とすというものだった。哲郎はその様子を脚本のネタにしようとしていた。最初は気が進まなかった悠介だったが、晴と触れ合うにつれて芝居と現実の狭間で心が揺れ動いていく。一方で哲郎は、自分には見せない晴の素顔を見て激しく動揺するが―。

HP:gnossiennes-movie.com
©2025「3つのグノシエンヌ」パートナーズ


『蟲』
2025年10月17日(金) シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ他ロードショー

監督・脚本:平波亘
出演:平埜生成 佐藤里菜 木口健太 北原帆夏 / 山田キヌヲ
細川佳央 橋野純平 中山求一郎
原案:「蟲」江戸川乱歩

<STORY>
映画監督の柾木は、親の遺産を食い潰しながら引きこもり続けて 10 年になる。極端に人との接触を嫌う柾木を気に掛ける大学時代からの友人・池内は、刺激を与えようと小劇場の舞台へと連れ出すが、柾木は居酒屋で酒をあおりながら厳しい論評を繰り返すばかりだった。しかし、そこに出演女優の芙蓉が現れると、その反応が一変する。柾木の演技論を熱心に聞く芙蓉に心を動かされ、創作意欲が湧き出してきた柾木は、彼女を主役にした脚本を書き始める。その想いの空回りが、次第に狂気を孕んで、誰も想像だにしない歪んだ愛の物語を奏ではじめる―。

HP:mushi-movie.com
©2025「蟲」パートナーズ


『白昼夢』
2025年10月31日(金) シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ他ロードショー

監督:山城達郎 脚本:川﨑龍太
出演:見津賢 上脇結友 宮田佳典 / ほたる 川瀬陽太
佐々江天真 月石しのぶ 前田龍平 田川恵美子 小川沙羅 小野寛幸 大迫一平
原案:「白昼夢」「湖畔亭事件」江戸川乱歩

<STORY>
塾講師の渡会には、誰にも言えないある病癖があった。それは、人前で決して見せることのない顔を覗き見た時、この上ない快感を得るというものだった。そんな渡会が済むマンションの階下に、真柄夫妻が越して来たのは今年の春のことだった。
渡会は、夫妻が済む部屋に覗き穴を作り、その生活を覗き見るのが日課となっていた。妻の華恵は大学の准教授となり出世する一方で、夫の太郎は非常勤講師として働いているようだが、夫婦仲は悪くないようだった。しかしある日、渡会がいつものように階下の様子を覗き見る中で、華恵の知らなかった太郎の秘密が明らかになる―。

HP:hakuchumu-movie.com
©2025「白昼夢」パートナーズ

【配給】アルバトロス・フィルム

Rie Koike