左から:鴻上尚史(演出)、太田基裕、小関裕太、臼田あさ美、安西慎太郎
鴻上尚史のプロデュースユニット「KOKAMI@network」第21回公演として『サヨナラソング ー帰ってきた鶴ー』が紀伊國屋ホールにて、2025年8月31日(日)に開幕を迎えます。
本作は、「生きのびること」テーマとして、日本の民話「鶴女房」のその後の世界と、ある家族を中心とした現実の世界が交錯しながら展開されていくオリジナル新作。
物語はある売れない作家が残した遺書のような小説から始まり、2つの世界が複雑に絡み合い、重なりながら、それぞれの結論へと進展していきます。
作・演出は、1981年に劇団第三舞台を旗揚げし、『朝日のような夕日をつれて』、『天使は瞳を閉じて』、『トランス』、『スナフキンの手紙』などの多数の代表作や、海外公演では、『TRANCE』、『Halcyon Days』をイギリスで上演し紀伊國屋演劇賞、ゴールデンアロー賞、岸田國士戯曲賞をはじめ、読売文学賞戯曲・シナリオ賞と多数の賞を受賞した鴻上尚史。
現代では宮瀬陽一/物語世界で与吉を、小関裕太。現代では篠川小都/物語世界でおつうを臼田あさ美。現代では相馬和彦/物語世界で馬彦を太田基裕。現代では結城慎吾/物語世界で吾作を安西慎太郎が演じ、人気と実力を備えたキャストが集結しました。
本稿では、初日前会見でのコメントと併せてフォトコールの様子をお届けします。
小関裕太:宮瀬陽一と与吉の二役を演じます。本作は鴻上さんの新作ですが、結構前に原案を思い付いたと伺いました。鴻上さんにとって思い入れのある原案から始まり、こうして今回新作として皆様にお届けできることになったということで、その一員として携われることを本当に幸せに思います。僕は紀伊國屋ホールに立つのは初めてなので、劇場入りした時はすごくワクワクしました。歴史のあるこの空間で、地声で奥の方までお届けする、この空間ならではのエネルギッシュな作品になっています。二役を魂込めて演じさせていただきます。
臼田あさ美:私にとっては8年ぶりの演劇作品となり、何もかもが新しい状況の中、0から全てを学びながらやってきました。キャストの皆さん、そして多くのスタッフの方に支えられて、いよいよ始まるなという実感が湧いてきました。稽古で積み重ねてきたことを丁寧に発揮するのはもちろんですが、ここから変化していくものもあると思うので、まずは気を引き締めて初日を迎え、最後まで走りきりたいです。
太田基裕:この作品は、二つの世界線が交互に紡ぎ合いながら展開されていきます。個人的には、この二つの役に苦労していて、まだまだ苦労しながらこの役を積み上げていかなければと。緊張感もありながら、妙な不安や怖さといった生々しいものが、自分の演じるセンシティブでナーバスな役と共鳴した時に生まれる揺らぎや歪みが、この紀伊國屋ホールでうごめいたらいいなと祈りながら稽古をしてきました。お客様にその緊張感、そしてコメディ要素もたっぷりありますので、そういうものを共有しながら素敵な空間になればいいなと思っております。
安西慎太郎:まもなく開幕を迎えますが、緊張が半分、幕が上がるぞというワクワク感が半分です。稽古でやってきたことが全てだと思うので、みんなで作り上げてきたものを信じて、本番楽しみたいです。。僕もそうですが、皆さんも現代を生きる上で生きづらさを感じる事があると思います。本作は、そうしたところに温かく寄り添って、包み込んでくれる作品になっていると感じていますので、ぜひ、お客様にも楽しんでいただけたらと思います。
鴻上尚史:キャストの皆さん全員が真剣に、演劇が好きだと分かるように取り組んでくれましたので、幸福に稽古を進めることができました。この作品は二つの世界が交差するため、1分30秒ほどで衣裳を着替えないといけないシーンもあり、裏ではスタッフたちも大騒ぎになっておりまして(笑)。臼田さんは11回も着替えますので、早替えも見どころのひとつとして、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
鴻上尚史:この作品の構想は、作詞家で精神科医のきたやまおさむさんとの対談から生まれました。
「鶴女房」に出てくる残された男は可哀想だ。もし鶴が去らなかったらどうなるんだろう?と話していて、その瞬間、ストーリーの前半が一気に浮かびました。
そこから、僕ら日本人の美学として潔くパッと散るのではなく、無様でもいいから生き延びる道を選ぶ物語ができたらいいなという思いで、この作品を創り上げました。
小関裕太:衣裳や見た目、世界観も全く違うので、お客様からは容易に見分けられると思います。それぞれの人生や考え方、どういうことを経てここにいるのかを2人分考える必要があったので、そこは大変でしたが、演じること自体は楽しくやらせていただいております。与吉は感情に正直で、チャーミングで可愛らしく、宮瀬は一見重いテーマを背負っているようですが、置かれている状況に振り回されているのが面白くて楽しい役です。
臼田あさ美:二役を演じると聞いて、最初は全く別のキャラクターとして演じ分けていくのかなと思っていました。実際に演じてみたり、皆さんのお芝居を見てみたら、キャラクターを演じ分けているというより、どこかで二役が繋がっているような気がして。どの役柄からも本人が持つ生命力をすごく感じましたし、面白いなと感じました。
太田基裕:二役を演じ分けながらも、自分の延長線上でその役からにじみ出る空気感を、自分自身がどう発していけるか。そこが演じながら非常に難しいと感じました。役が背負っているもの、感じ取っているものを、お芝居の中でどう組み立てていくか、繊細な作業で大変でした。でも、それを乗り越えた先で見える、新たな発見や学びがあると思うので、そういうものから逃げずに真っ直ぐ演じられれば、役がどんどん立体化していくんじゃないかなと。不安もありますが、楽しみですし、そう信じています。
安西慎太郎:日々楽しく稽古をしながら自分の役と向き合ってきたので、皆さんのおかげで二役を演じる上での苦労はあまり感じませんでした。個人的には、今作の登場人物は劇中で困っている人ばかりで、物語としてその姿を見るとユニークに見えて面白くて、笑いを堪えるのが大変でした。楽しくなりすぎないよう、注意しないといけないなと思っています。
去っていくものは美しい。けれど、残されたものは哀しい。売れない作家である宮瀬陽一が残した遺書のような物語は、日本人なら誰もが知っている「鶴女房」のその後を描いた小説だった。鶴であることが夫にばれ、遠くの空に旅立った鶴が、もし戻ってきたとしたら。
村の中で、二人は、どんな人生を始めるのか。だが、その物語は、小説誌の掲載を断られて、未完で終わっていた。宮瀬の担当編集者だった相馬和彦は、宮瀬の妻であり、夫と違って売れっ子作家の篠川小都に、この続きを書いて下さいと迫る。小都は、悩んだ末、夫のことを知りたくて、夫の作品に没入していく。物語は、小都の小学三年生の息子、由自と、小都の大学の後輩であり、担任の結城慎吾との関係から生まれる現実の世界と、「鶴女房」のその後の世界の二つを、交互に往復しながら展開される。テーマは「生きのびること」。どんなことがあっても「生きのびること」。
【作・演出】鴻上尚史
【出演】
小関裕太 臼田あさ美
太田基裕 安西慎太郎
三田一颯/中込佑玖(Wキャスト)
渡辺芳博 溝畑 藍 掛 裕登 都築亮介
<東京公演>
【日程】2025 年8月31日(日)〜9月21日(日)
【会場】紀伊國屋ホール
【チケットに関するお問合せ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00〜15:00)
<大阪公演>
【日程】2025 年9月27 日(土)〜9月28日(日)
【会場】サンケイホールブリーゼ
【チケットに関するお問合せ】キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日 12:00〜17:00)
【チケット料金(東京・大阪共通)】
9,800円(全席指定/税込/前売・当日共通)
☆U-25チケット:4,800円(当日引換券/税込)
【制作協力】ニューフェイズ
【企画・製作・主催】サードステージ
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