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【レポート】歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』記者会見の様子をお届け!尾上松也、尾上菊之丞、松岡亮が登壇し、本作の魅力を語る

2025年7~8月 新橋演舞場・博多座・南座にて上演される、歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』。

原案は、名だたる刀剣が戦士の姿になった刀剣男士を収集・育成・強化し、歴史改変を目論む敵を討伐する、刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞ONLINE」(DMM GAMES/NITRO PLUS)。
刀剣乱舞の世界観はそのままに、立廻りや早替りといった歌舞伎ならではの演出もたっぷり盛り込んだ“とうかぶ”。
2023年以来2年ぶりの上演となる本公演は、初演の熱量はそのままに新たに書き下ろされたオリジナルストーリーで、鎌倉時代の歴史書である「東鑑(吾妻鏡)」をふまえて、鎌倉幕府三代将軍・源実朝の時代を描く。
舞台は1219年の鎌倉。幕府内では権力争いが激化し、北條政子や源実朝の妻の倩子姫、公暁や鎌倉の重臣たちなど多くの人々の思惑が渦巻いていた。今作はそんな混迷した時代に、源頼朝から三代目かつ最後の源氏将軍となった源実朝が、鶴岡八幡宮で殺された“源実朝暗殺事件”を題材とし、歴史改変を目論む敵・時間遡行軍との戦いに刀剣男士が出陣。

演出は三日月宗近役としても出演する尾上松也と、日本舞踊尾上流四代家元・尾上菊之丞がつとめ、脚本は松岡亮が手掛ける。
また第一作から引き続き、中村鷹之資演じる同田貫正国、中村莟玉演じる髭切、上村吉太朗演じる膝丸、河合雪之丞演じる小烏丸の五振りが登場。さらに本作から尾上左近演じる加州清光、中村歌昇演じる陸奥守吉行、そして中村獅童演じる鬼丸国綱の三振りが加わる。

刀剣乱舞歌舞伎 第二弾となる歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』の記者会見が、2025年5月28日(水)に都内にて実施され、尾上松也、尾上菊之丞(演出)、松岡亮(脚本)の3名が登壇した。

左から:松岡亮(脚本)、尾上松也、尾上菊之丞(演出)

記者会見が始まると、前作のに続き今作の脚本を担当する松岡は「前作に負けない作品を、松也さん、菊之丞先生と一緒に作り上げていきたいです」と、演出を務める菊之丞は「2作目ができる喜びを感じています。今回は劇中の踊りだけではなく、最後に大喜利所作事で踊りがつくことになっておりますので、こちらの方も私としても楽しみにしています」と、演出、三日月宗近役としても出演する松也は「2023年に初演をさせていただいてから、2年ぶり、第2弾となります。1作目を企画して作っている時から、このコンテンツはシリーズとして何作も作れるようにしていきたいと考えておりましたので、こうして第2弾ができることをすごく嬉しく感じています。初演は本当にいろんな方の支えがあり、大盛況のまま幕を閉じることができました。それに負けないように、そして新たな形と歌舞伎の幅というものを、2作目で更に魅力を知っていただけるようにしたいです」と、それぞれ本作への意気込みを語った。

今作の見どころについて、松也は「新たな刀剣男士が三振り登場するので、そこが大きな魅力のひとつです。もうひとつ大きなところで言いますと、1作目の時は、作中で歌舞伎舞踊の場面がほんの僅かで、全員で踊ることができなかったのもあり、もう少しやりたかったという思いがありましたので、今回は思い切って舞踊を別立てでやることにしました。そこが前回と大きく違うところになります」と話した。

また、初演について松也は「今までの歌舞伎をご覧いただいているお客様にとっても非常に新鮮で、初めてのお客様にもインパクトがあるものを目指し、ビジュアル、構成、演出をしました。刀剣乱舞を通じて歌舞伎の魅力を知っていただいて、他の演目も観てみたいと思ってもらえることが理想で、それがひとつの僕らの裏テーマでもあります」と語り、今作でもそこは変わらず、誰が観ても新鮮に映るような、それでいて観たことがあるようなものにしていきたいと述べた。
さらに、今後もシリーズが続いていくことを見据えて「各エピソードに歌舞伎ならではの悪役やキャラクターがどんどん増えていくようにしたいと思いながら作っていますし、第3段、第4弾とできるように伏線を考えたりもしています」と明かした。

歌舞伎ならではの点として、松也は「今回、僕だけではなく新たに出演していただく皆さんにも二役やっていただきますが、何役もこなすのは歌舞伎ならではかなと。そこは2.5次元作品ではあまりない形だと思いますので、歌舞伎のひとつの楽しみとしてご覧いただきたいです」と語った。
続けて、歌舞伎と刀剣乱舞の相性の良さについて聞かれると「歴史をもとに脚色をして作っているものが多いので、リンク性がありますし、作りがいがあるなと感じています。洋装の刀剣男士もたくさんいますが、歌舞伎からインスピレーションを得ている刀剣男士も多いので、そこもシンパシーを感じました。また、2.5次元舞台も拝見させていただいて、そういう見せ方や手法もあるんだ、していいんだと、より歌舞伎化への意欲が沸いてきました」と述べ、逆に1番大変だと感じていることは「洋装をどういうふうに歌舞伎に落とし込んでいくか。いつも大変なんですが、だからこそやりがいがあって非常にテンションが上がります」と、苦労しつつも楽しみながら作っていると話した。

今作のあらすじについて、松岡は「配役に出ておりますが、源実朝や北条政子、そして公暁といった方々が揃っているので、察しのいい方は実朝暗殺前夜の物語になると想像してくださっているんじゃないかなと。その辺りが肝になってくると思います。ただ歴史通りに描いてしまうと飛躍がありませんので、今回も歌舞伎『刀剣乱舞』ならではの物語の飛躍などをお楽しみいただきたいです」とコメント。

大喜利所作事『舞競花刀剣男士』の内容について質問された菊之丞は「本丸に帰って来た刀剣男士が、いろんな時間を過ごしている中での踊りの競い合いをする。すごくライトに言えば、パーティーです。そういう意味では本編の物語にこだわらず、刀剣男士が日本舞踊を踊る姿をお見せしたいと考えています。劇中での踊りは、ストーリーを見せるひとつの道具でないといけない部分がありますが、所作事と別にすることによって、その枠をはみ出して自由に踊ることができる。それが歌舞伎の踊り、所作事の見せ場かなと思っています」と明かした。

歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』は、7月5日~27日まで東京・新橋演舞場、8月5日~11日まで福岡・博多座、8月15日~26日まで京都・南座にて上演。

公演概要

歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』

2025年7月5日(土)〜27日(日)
東京 新橋演舞場
2025年8月5日(火)〜11日(月・祝)
福岡 博多座
2025年8月15日(金)〜26日(火)
京都 南座

原案
「刀剣乱舞ONLINE」より(DMM GAMES/NITRO PLUS)

脚本
松岡亮

演出
尾上菊之丞、尾上松也

出演
三日月宗近 / 羅刹微塵:尾上松也
陸奥守吉行 / 源実朝:中村歌昇
同田貫正国 / 公暁:中村鷹之資
髭切:中村莟玉
加州清光 / 実朝御台倩子姫:尾上左近
異界の翁 / 三浦義村:澤村精四郎
膝丸:上村吉太朗
異界の媼 / 源仲章:市川蔦之助
小烏丸 / 北條政子:河合雪之丞
北條義時:喜多村緑郎
大江入道:大谷桂三
鬼丸国綱:中村獅童

※小烏丸と同田貫正国は本編の一部と大喜利所作事に出演

公式HP:https://kabuki-toukenranbu.jp/

©NITRO PLUS・EXNOA LLC/歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会

Rie Koike