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【レポート】『劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット』完成披露上映会イベントの様子をお届け!

昨年2024年9月より放送が開始され、回を重ねるごとに注目を集めていき<今期一番の青春ドラマ>として呼び声が高い、MBS ドラマフィル「スメルズ ライク グリーン スピリット」。
原作は、2011年から2012年まで「コミックBe」(ふゅーじょんぷろだくと)で連載された、永井三郎原作の⾦字塔・⼈気漫画。閉鎖的な平成のド⽥舎を舞台に、自分のアイデンティティに目覚め、彼を取り巻く少年たちが織り成すひと夏の淡い⻘春ストーリー。

ドラマを再編集し、更に原作、ドラマにもないオリジナルエピソードを加えた『劇場版スメルズ ライク グリーン スピリット』が、2025年6月に全国公開。
劇場版の全国公開に先駆け、完成披露上映会イベントが2025年5月26日(月)に都内にて実施された。

クラスで浮いていて “髪が長い”という理由で、同級生からいじめられるが抵抗せず、唯一の心のよりどころが、隠れて母親の口紅を塗ったり、服を着たりすることが日課となっている主人公・三島フトシ役:荒木飛羽、「本当の自分」を押し殺し、クラスで浮いていて “髪が長い”という理由で、主人公・三島フトシ(荒木)をイジメるグループのリーダーで、ある日、三島が落とした口紅を自らの唇に塗ろうとする桐野マコト役:曽野舜太、三島に対し強く当たってしまう、バスケ部に所属するクラスのムードメーカー・夢野太郎役:藤本洸大、どこか訳アリな様子もうかがえる都会から閉鎖的なド田舎に転任してきた社会科教師・柳田役:阿部顕嵐が登壇。そして、音楽を担当した中村 中と、澤田育子監督もイベントに駆け付け、映画化決定の喜びや劇場版の見どころを語った。

左から:藤本洸大、阿部顕嵐、荒木飛羽、曽野舜太、中村 中(音楽)、澤田育子監督

ドラマが劇場版になると聞いた時の感想を尋ねられると、荒木は「自分と夢野は追加撮影が無かったんですけど、劇場版が決まった時はすごく嬉しかったです」と喜びを語り、追加撮影があったという曽野は「現場でまた皆さんに会えて嬉しかったです。あの夏がまたやってきて、大きいスクリーンで観れることも嬉しいですし、早く皆さんに観てもらいたいです」と、藤本は「慎重に役と向き合い続けた大切な日々が刻み込まれた作品なので、心から嬉しかったです」と、阿部は「映画がすごく好きなので、劇場で作品の世界に没入して観ていただけることを幸せに感じています」と、それぞれ想いを述べた。
劇場版を観た中村は「ドラマと違って映画版は一気に観れるので、登場人物の葛藤がダイレクトに伝わって来るのが良いなと思いました」と、映画版ならではの見え方があると感想を述べた。

また、撮影は昨年の7月~8月と猛暑のなか行われたということで、撮影現場でのエピソードを聞かれると、曽野は「すごく暑かったです。昔の学校なのでエアコンもなくて、みんなで汗を拭きながら撮影しました。撮影の一発目が冒頭の追いかけるシーンで、10本くらい走って。この現場やべぇ!って思いましたね(笑)」と振り返り、澤田監督が「真夏にマフラーとかも巻いてもらって、冬の卒業式のシーンを撮っていました」と話すと、藤本は「マフラーの中に実は保冷剤をいっぱい入れてました。暖かい格好をしているのに冷たいものを入れるというのが初めての経験でした」と、暑さ対策をしながらの撮影になったと裏話を明かした。

今回、澤田監督からのオファーで劇伴を担当することになった中村は「2020年くらいから、澤田監督がやられている劇団『good morning N°5』の音楽を担当していたので、そういうご縁から声掛けていただけたのかなと。作品のタイトルがニルヴァーナの名曲を呼び起こさせるので、グランジ感がありつつ、青春の儚い感じや、この先何があるか分からない感じに繋がったと思っています」と楽曲について語った。
完成した楽曲を聴いた時の感想をきかれた澤田監督は「シーンに合わせたり、登場人物の心情をバックアップしていただけるように、本当に丁寧に作っていただきました。漫画原作を実写にする時、音楽もとても大事なもののひとつで。体育館でのいじめのシーンで、どうしてもいじめる側の夢野くんに歌ってほしかったんです。どんな歌かなと考えた時、きっと彼らが日常でテレビとかで聴いているような曲を替え歌にして、いじめているんだろうなと。日常にあるからこそ、いじめられている三島くんも、その歌をついお風呂で口ずさんじゃう。事件ではなく、日常の中にあることなんだということを音楽で表現した。すごく思い入れがあります」とコメント。

また、追加撮影で海に入ってのシーンがあったという阿部は「結構シリアスなシーンでしたが、撮影部や照明部の方もみんなで一緒に海に入って、撮影自体はすごく楽しくやらせていただきました」と振り返り、「海から手が出てくるシーンを撮る時は、潜った波紋が出ないように撮る10秒前くらいから潜ったりして工夫しました」と明かした。

最後に、澤田監督より「6月27日から全国の映画館で公開となりますので、何度でも観ていただきたいです。ドラマ版とは違った点もかなりありますので、DVDと合わせて楽しんでいただけたらと思います」と、中村より「自分の10代の頃がすごく詰まっているシーンが多くありました。私は男児として産まれてましたが、今は女性として生きています。例えばこういったセクシュアリティや同性愛を扱う作品が存在することで、観た人が帰り道に自分がどう思ったかとか語り合ってくれたらと思うと、当事者としては語り合っていただく場がありがたくて。描かれているのは令和の今から比べると、苦しい描写があったりもするけれど、これは数十年前のリアルな形だと思うんです。そういう時代もあったこと、今どう考えるかで映画を楽しんでいただけたらと思います」と、阿部より「映画館でこの作品に時間を使っていただけたら嬉しいなと思います。もちろんドラマとは別物だと思うので、何回でも観て、この作品を愛していただけたら嬉しいです」と、藤本より「とある田舎町で、それぞれが自身のアイデンティティと向き合い続けた、汗と涙がぎゅっと詰まった作品だと思います。皆様の心にもこの作品、この夏が、この先も残り続けていただけたらとても嬉しいです」と、曽野より「僕ら含め、スタッフの皆さんも全力で駆け抜けた夏が劇場版になりました。セクシュアリティな問題や、田舎の狭い地域だからこそ起きる問題、家族との関係の問題など、観る時に少し構えるところもありますが、観た後には自分の中に何かが生まれて、勉強になったり、考えが変わったりすると思うので、ぜひ劇場で見てもらえたら嬉しいです」と、荒木より「皆さんにドラマをたくさん観ていただいて、たくさん愛していただいたので、自分が今ここに立てているんだなと感じています。本当に感謝しています。劇場版は大きい画面で自分たちのひと夏を観てもらえるので、嬉しいですし、皆さんにも伝えられたらと思います」と挨拶があり、完成披露上映会イベントを終えた。

作品概要

『劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット』
2025年6月27日(金)全国公開

荒⽊⾶⽻
曽野舜太 藤本洸⼤
⽚⽥陽依 ⾦井美樹 富岡晃⼀郎 池⽥有希⼦ 鳥居みゆき 宮下今日子
市川しんぺー ⻄原誠吾 千代⽥信⼀ 加治将樹
荻野友⾥ ⿊沢あすか /酒井若菜
阿部顕嵐

原作:永井三郎
(コミックBe「スメルズ ライク グリーン スピリット」/ふゅーじょんぷろだくと 刊)

監督 澤田育子
脚本 新井友香 音楽 中村 中
エグゼクティブプロデューサー 菊池貞和 平体雄二 プロデューサー 中村美香 宮田幸太郎
撮影 佐藤康祐 照明 大和久健 録音 柴田陽一郎 編集 増田嵩之 選曲 榊原聡志
美術プロデューサー 木村文洋 美術 横守 剛 衣裳 塩野谷由美 ヘアメイク 染川知美
インティマシーコーディネーター 西山ももこ 監督補 寺田明人 製作担当 萩原 満
メイキング 宮崎陽介 ビジュアル写真 枝 優花
製作プロダクション:スタジオブルー 製作:「劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット」製作委員会
配給:ポニーキャニオン

<映画公式HP>
https://slgs-movie2025.ponycanyon.co.jp
<公式SNS>
映画公式X:@SLGS_movie2025 
<公式ハッシュタグ>
#スメルズライクグリーンスピリット
#映画SLGS

■ストーリー
平成のド田舎の男子学生・三島フトシ(荒木飛羽)は、髪が長く、なよなよしているという理由から、バスケットボール部に所属するクラスメイト・桐野マコト(曽野舜太)率いるグループにイジメを受けている。
しかし三島は抵抗するすべもなく、隠れて口紅を塗ったり、女性ものの服を着たり、“カワイイ自分に変身する”という日課が心のよりどころになっていた。
そんなある日、三島が屋上にいると、以前なくした口紅を桐野が自らの唇に塗ろうとしていることを目撃し…。
“本当の自分”を隠して学校生活をおくる桐野、“なぜか”三島に強く当たるイジメグループの一人・夢野太郎(藤本洸大)、“やたら”三島を気に掛ける新任の社会科教諭・柳田(阿部顕嵐)。自分のアイデンティティに目覚める三島の存在をきっかけに、桐野・夢野・柳田の“秘めたる感情”が徐々に明かされていく。この世界のどこかで“本当の自分”でいられる場所を求めた彼らのひと夏の淡い青春物語、ここに開幕——。

MBS ドラマフィル「スメルズ ライク グリーン スピリット」FOD、U-NEXTにて好評配信中

(C)「劇場版 スメルズ ライク グリーン スピリット」製作委員会

Rie Koike