日本最古のパフォーミングアート、能楽に、リアルタイムの実況ガイドが導入される。650年継承されてきた芸能へ新風を吹き込む、能楽界のイケメン貴公子たち。神楽にルーツを持つ能をもっと近寄りやすいものにする試みが、2月に始動する。プロの能楽師が、観客と一緒に鑑賞しながら、リアルタイムに能を読み解いていくナマ解説ガイドの導入だ。
今回、私たちの強力助っ人として実況中継ガイドを担当するのは、20代の能楽師。紋付袴から普段着に着替えてしまえば、普通にフェスに行くような若者だ。
能というクリエーションは、空間や間合い、所作の行間など、見えないものを観客それぞれがイマジネーションと、自身の人生経験を投影させ、完成させていく、究極のアート。
解説では、その究極のミニマリズムで余分なものを排した舞台が今どんな場面設定になっているのか、役者の動きが意味するもの。また宗教絵画などにあるアイコンのように、装束の文様や面に潜む意味。歌舞伎との違いなどなど、実況中継ガイドは、慣れない鑑賞者が見逃してしまうほんの些細なことを読み解くのをそっと手伝ってくれること請け合いだ。
この4月には、約30年ぶりに東京都心(銀座松坂屋跡地・銀座シックス内)に大型の能楽堂(観世能楽堂)がお目見えする。今、静かに熱い「和」文化が、またひとつ身近になりそうだ。
◆公演名:七拾七年会(ななじゅうななねんかい)
◆日 時:2017年2月20日(月)・22日(水)
いずれも18時開演(17時開場)~20時50分終演予定
◆会 場:国立能楽堂(東京都渋谷区千駄ヶ谷4-18-1)
◆チケット料金:
S・指定席…8,000円
A・指定席…6,000円
B・自由席…4,000円
学生自由席…2,000円(通信、放送大学等を除く、30歳未満の学生に限らせて頂きます。)
※15名以上で団体割引あり。
◆チケット販売方法:
カンフェティ 0120-240-540(平日10時~18時)
武田宗典ホームページ http://takedamunenori.com/work
国立能楽堂窓口(窓口販売のみ)
◆ナマ解説ガイド申込み:
武田宗典ホームページ http://takedamunenori.com/work
七拾七年会事務局(070-1388-1254)
◆オフィシャルHP : http://tiny.cc/v91jiy
◆主 催:七拾七年会
◆後 援:一般財団法人 武田太加志記念能楽振興財団
◆協 賛:株式会社エー・ケー・プラス、金田中、キッコーマン株式会社、究和エンタープライズコンコード株式会社、武田文志後援会「文志会」
◆公式Facebookアカウント: https://www.facebook.com/nanananakai/
能が現在のようなカタチになったのは、ルネサンスの開花と同じ頃。京都の金閣寺を建てた足利義満の孫、足利義政(銀閣寺を建立)の庇護の下、・親子がその基礎を築き、後に織田信長、羽柴秀吉、徳川家康と、時の政権の肝入れもあって洗練されたアートへと昇華していく。そしてこの義政とちょうど同じ頃にこの世に生を受けていたのが、遠くヨーロッパは、フィレンツェ共和国の実質的支配者だったロレンツォ・ディ・メディチ。彼があのミケランジェロやボッテイチェリ等の芸術家を庇護し、ルネサンスが開花する。
能はまた、後に大名をパトロンとして継承されていく中で、当時同じ日本国内であっても、方言が相互コミュニケーションを阻むことも少なくなかったため、将軍が大名に能楽の演目上演を通して道徳観念や生きる道を示すのにも用いられた。発祥から約650年もの歳月を経てもなお同じ2百数十演目を忠実に創作時のまま上演し続けられているのも特徴のひとつである。
能舞台 能の演技を支える舞台装置 (外務省提供)
【公演詳細】
★2017年2月20日(月曜日)
第一部:一調 「勧進帳」「籠太鼓(ろうたいこ)」「野守(のもり)」
第二部:狂言 「節分」
第三部:能 「天鼓(てんこ) 」
★2017年2月22日(水曜日)
第一部:一調 「屋島(やしま)」「西行桜(さいぎょうざくら)」「女郎花(おみなめし)」
第二部:狂言 「惣八(そうはち)」
第三部:能 「海士(あま) 」
☆一調とは、お囃子の演奏者一人と謡い手一人とが、1対1でクライマックス部分を上演する方法で、双方に相応の力量が必要とされます。
◇主な出演者一覧(※プロフィールを末尾に掲載)
★七拾七年会メンバー
武田文志 武田宗典 山本則重 小寺真佐人 住駒充彦 原岡一之
★その他の出演者
☆シテ方:武田志房 武田宗和 浅井文義 松木千俊 味方玄
☆ワキ方:森常好 宝生欣哉
※上記7名は、重要無形文化財総合指定保持者
☆狂言方:山本則孝 山本則秀
☆囃子方:竹市学 杉信太朗
★ナマ解説ガイド担当
武田祥照 武田崇史