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アルジャーノンに花束を

【3.0レポート】ミュージカル『アルジャーノンに花束を』

アルジャーノンに花束を

設定はSF、ここで描かれている感情や人間の愚かさは空想ではなく、リアルだ。超がつく程の天才になったチャーリィは次第に他人を見下すようになるし、また、ストラウス博士は自分自身の地位のためにチャーリィをモルモットにして研究対象とするところは、よく見かける“人間の業”。他者を軽んじたり、利用する、これもまた人間なのかもしれない。また正反対に、再び知恵おくれとなったチャーリィを温かく迎え入れるパン屋の仲間達も、また人間らしいし、終始温かいアリス・キニアンも人間味あふれるキャラクターだ。
ネズミのアルジャーノンは寿命が尽きて死んでしまうが、チャーリィは言う「アルジャーノンに花束を」、そして皆、手にいっぱいの白い花束を抱えて登場し、舞台中央に置く。アルジャーノンは白いネズミ、無垢な存在であったが、チャーリィの本質もまた白く無垢で、心優しい人間、忘れてはいけないことがここにある。深い感動と洞察と、そして人間の愚かさと賢さは紙一重、この作品は多くのことを示唆してくれる。

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